ハニィ。

「香穂ちゃん、これがここのオススメのケーキだって」 「わ!美味しそう!いただきます」 ぽかぽか、いいお天気。 日野香穂子は恋人である火原和樹に『美味しいケーキ屋さんが出来たんだ!こんどの土曜日に行こう』 と誘われそのおすすめである喫茶店に来ていた。 火原がおすすめするだけあってその店の外装はとても可愛く香穂子好みで。 中もシンプルでありながらどこかお洒落、という言葉がよく似合う店だった。 何よりも…出てきたケーキがとても美味しそうで。 「ん!すごい!すごい美味しいです、和樹先輩!」 「本当?んじゃおれも食べようっと」 香穂子の言葉に満面の笑みをかえし火原もケーキに口をつけた。 「すっごい旨い!ここ、店もいいし味もいいね」 「本当ですね!美味しい〜」 本当に幸せ一杯!を顔に出してケーキを頬張る火原。 そんな火原の様子を香穂子は微笑んで見ていたが急にくすくすと笑い出した。 「?どうしたの?」 「ふふ、先輩。顔、クリームついてますよ」 笑いながら火原の頬に手を伸ばしクリームを手に取り自然な動作で自分の口に運んだ。 「あ、先輩のケーキのクリーム美味しい。紅茶クリームかな?」 「か、かほちゃん…?」 「どうしました?」 あうあうとよくわからない言葉を紡ぎ、顔を真っ赤にさせている火原。 きょとんとしながら香穂子は火原の動作を一部始終を見ていたが、 ふと思い出したように呟いた。 「火原先輩って前から思ってたんですけど…可愛いですよね」 「…は?」 「火原先輩は可愛いって言ったんです」 「かわいい…?」 「ええ」 目が点になっている火原に気付かずに香穂子は笑いながら続ける。 「いつも表情がくるくる変わって。見ていてとても楽しいし」 「か、わいい…」 いつまでもくすくす笑う香穂子に火原はむうっと頬を膨らませた後 何かを思いついたように笑った。 「なんだ、香穂ちゃんだって人のこと言えないじゃない」 「え?何がですか?」 「クリーム」 「へ?やだ、ついてます?」 「うん」 「嘘!ど、どこですか?」 ぱたぱたと顔に手をやる香穂子。『ここ?ここ?』と指差すが火原は首を横にふるだけ。 「先輩〜、とってください〜!」 とうとう根負けして火原に頼む。 「仕方ないなぁ…ここだよ」 おもむろに自分のケーキの生クリームを手ですくい香穂子の口に塗り… ぺろり。 その唇を、舐めた。 「!?!!??」 「はい、取れたよ。香穂ちゃん」 「せ、先輩!何やって…!」 「…男が可愛いなんて言われて。喜ぶやつなんていないんだからね」 「…ッ!」 「覚えておいてね?香穂ちゃん」 そう言いにっこりと笑う火原は。 男の、顔をしていた。 ------------------------------------- コルダアンソロ用に描いていたネタ。 結局アンソロの方はこれと違いほのぼのになりました。 BACK