+ミステイク+
「ただいま」 広い玄関をくぐり挨拶をひとつ。 しかし…返事がない。 いくら遅くても嫌な顔をせずに『おかえりなさい』といってくれる 彼女の姿が今日は見えない。 ついこの前まではこれが普通で。 自分も『ただいま』などと口にすることはなかったのだが。 どうしようもない苛立ちを覚えながらも御堂一哉は玄関廊下に足をかけた。 2階の…自分の部屋に上がろうと思ったとき、ふとキッチンの方から声が聞こえた。 一人は、先ほどのいいようのない苛立ちを覚えた少女…鈴原むぎで。 もう一人は… 「羽倉…?」 何を話しているのかと思いキッチンのドアに手をかけようとしたまさにその瞬間。 「ん…っ!…」 非常に。 いつもの彼女らしからぬ艶のある声が聞こえた。 思わず御堂はドアから手を離してしまう。 そのむぎの声に被さるような心配そうな羽倉の声まで聞こえる。 「お、おい…大丈夫か?」 「うん…あたしは、平気だから…。麻生くん、続けて…?」 「でも…お前、泣いてるし」 !? むぎが泣いている? 何故だ? 何故だか部屋に入るのは躊躇われ、意図しなくとも聞き耳を立ててしまうこととなった御堂。 そんな御堂に気付きもせず二人の会話は続いていく。 「んん、もう、止まらないよぉ…!」 「おい、そんなにキツいなら、むりにいれなくてもいいんだぜ?」 い…入れる? 何をいれる…? ナニを…!?挿れるのか…!? 焦る御堂と正反対のような羽倉の優しい言葉。 しかしその言葉に間髪入れずむぎが反論する。 「だって…!麻生くん、すごい嬉しそうだったじゃない…! あたしだったら大丈夫だし、あと、もう少しだし…」 「いいから。そんなに泣くお前見てらんないし。 ムリすんなって、俺がやるから」 「麻生くん…ありがと…」 そんな嬉しそうなむぎの声を聞いてられなくて。 とうとう…御堂は切れた。 「お前達ナニやってるんだーっ!!」 勢いよくドアを開けて。 その先に見たものは。 玉葱を切って涙するむぎと。 鍋をかき混ぜている羽倉。 非常に健全な図だった。 「え?って、あ!!一哉くん、お帰りー」 「…よう。遅かったな。お前も腹減ってんのか…?」 涙が浮かびながらもにっこりと笑うむぎと、 羽倉も少し照れているがなんのヤマシイことはしていなさそうだ。 「………ああ。…で。 お前達は本当に何やってるんだ…?」 自分の想像とあまりにかけ離れた二人だったので冷静な判断を下せない御堂だった…。 【END】 --------------------------------- ただカレーを作っていただけです。 麻生くんは玉葱を入れると聞かれて喜んだ模様です(笑) 青山剛昌リスペクツ。 くだらない話で本当スミマセン…! 一度書いてみたかったんですこういう話…。 言葉考えるのが非常に楽しかったです(笑)