イニシャル
「そういばさ」 「え?」 いつもの放課後。 知り合いの沢山いるエントランスの中で合奏をし終わった 火原和樹と日野香穂子は談笑していた。 「この前同じ学年だったらいいのにねって話、してたじゃない?」 「ええ」 「思ったんだけど、もしもおんなじ学年でさ、同じクラスだったりしたら おれ達絶対一緒の出席番号だったよね」 「あ!本当ですね!【ひはら】に【ひの】ですもん。確実だわ」 「勿体無いよな〜!本当同じ学年だったら香穂ちゃんと一緒に日直とかしたり 何より席隣なんだよね」 「まだ同じクラスになるとは決まってませんって」 「いいの!夢見るのは自由だからね」 「先輩ってば」 「あ、そういえば」 「何?」 「この前、【R.T】っていうイニシャルのノートが落ちてて。 月森くんか土浦くんで悩んだんですけど…」 「ふんふん」 「もし私がイニシャルでノート落としたら和樹先輩のか私のか、わかりませんよね」 「ああ!同じイニシャルだもんね!」 「そうなんです!【K.H】でおそろい!」 「あはは、なんか嬉しいね」 「はい!…あ。」 「どうしたの?」 「ということは…」 「私が火原香穂子になってもイニシャルは同じですね!」 ガタガタガタガタッ! まわりにいた知り合いの面々は崩れ落ちる。 しかし火原は動じず 「本当だね!でもおれが日野和樹になっても同じだよ。 まぁ出来れば火原姓は残したいけどね」 「もう、先輩ったら」 「あははは」 動じないこの二人。 頼むから付き合ってくれとも思うが。 何を思ったのか『コンクールが終わるまで告白しない』とか 変な誓いを火原が立ててしまった故、 付き合っていないのにこの出来上がりようを まわりは見なければいけなくなったのである。 頼むから付き合ってくれ! そうしたらまだ諦めがつくのに! そして皆の心の声。 (この、バカップルめ!) この言葉はコンクール終了まで二人の耳に届くことはなかった。 ----------------------------- ボーイフレンド?の続き…というかオマケ。 なんというか本当に駄文でごめんなさい。 でも火原っちって絶対バカップルになると思うんですが。 BACK