+教えてあげない +
「最近、真面目にシュトラールの仕事をこなすようになったな」 「は?そうか?」 厩舎で愛馬であるアルテアの様子を見ていたエドヴァルドは 旧知の仲であるオルフェレウスに話し掛けられた。 「…そんなつもりはないけどな?俺はいつでも真面目だぜ〜?」 「…そうだったか?」 クスクスとそこに女生徒がいたのならば一人や二人失神しているかもしれない。 そんな笑みを浮かべオルフェは笑った。 「…なんだよ」 「いや、なんでもないさ。真面目になったのが誰かがシュトラール補佐委員に なったから…などと、誰も思ってはいないのだから」 「…ッ。お前…!」 「ハハ、お前をからかえる日がくるとはな」 「…もう、俺は行くからな!」 普段からかうのは自分の役目なのに。 エドは少し悔しく思いながら厩舎から離れた。 思わず足を向ける場所は。 彼女がいるであろうシュトラールの部屋。 …いや、今日は真面目に仕事をしようと思っただけだ。 別に、オルフェに言われたからとはそういうわけでは…。 誰にともなく言い訳を心のうちに述べるエド。 そんなことを思っているうちにドアが開き一人の少女が出てくる。 それは…彼が、最近、気になっている少女。 「あ、おい――…」 「それでは、失礼いたします、ルーイ様」 エドが呼ぶ前に少女は部屋にいるシュトラールに声をかける。 ドアを音を立てぬように閉めたのち、少女はエドに気付き彼に近づいてきた。 「まぁ、エド様。こんにちは。今日はこれからお仕事でしょうか?」 「あ、…お、お前は?」 「私ですか?私は今までルーイ様のお仕事の補佐を。 今日はもうあがってよいとのお言葉をいただきましたので、 これから帰ろうと思っていたところです」 「…」 「?どうかなさいました?」 いつもなら場を盛り上げるように話してくれるエドヴァルドが今日は 話しづらそうにしている。 不思議そうに彼を見上げていると少し切り出しにくそうにしながらも エドは口を開いた。 「…仲、いいんだな」 「え?」 「…アイツと」 「どなた…とですか?」 「ルードヴィッヒのヤツだよ。『ルーイ様』とか言ってたし」 「え…」 目を丸くする彼女に。 思わず口にしてしまった言葉に、驚くエド。 これではただの醜い嫉妬ではないか。 「あ…あ〜。今の、ナシ、な」 「え?」 「なんか、お前の前だと、俺…調子狂うみたいだ」 「えぇ…?」 「あ〜もう、気にすんなって」 「きゃ、きゃあ、エド様!」 彼女の綺麗な金色の髪をくしゃくしゃと撫でる。 「も、もう!エド様!」 「ハハハ。…さて。お前、今日はもう終わりって言ってたよな?」 「ええ。そうですけど」 「カフェにでも行くか?喉渇いちまった」 「…ハイ!お供します!」 「じゃあ、行きましょうか、お嬢さん?」 そうおどけていいながらエドは彼女の前に恭しく手を差し伸べる。 そんな彼の様子にクスクス笑いながら彼女はそれに乗り手を添える。 「はい、王子様、素敵なエスコート、よろしくお願いいたします」 手を繋ぎながら、カフェに向かう途中。 「お気づきになられないのかしら? 私、貴方様のことも『エド様』と呼ばせていただいておりますのに。 …内緒ですけれど…こんなにドキドキするのは、エド様だけなのですよ?」 「んぁ?何か言ったか?」 「…いいえ。早く参りましょう」 二人の気持ちが通じ合うのは、もう少し先のこと。 【END】 -------------------------------- …マイネプレイ記念。 いい気になってエド主です…。 早くED見たいものです。 最後の最後で緑に持っていかれるよぉぉう。 何故このタイトルかというと、二人とも本心をまだ伝えてないからです。